継続的に支援していかないと、だめだと思うけどなあ。
仮設住宅に入居する被災者の前に“法の壁”が立ちはだかっている。入居者への支援は国の「災害救助法」の対象外になるため、行政による炊き出しや生活必需品の配給など、避難所で受けられた行政支援の多くが打ち切られるからだ。(渡辺陽子)
「ただ家ができたってだけ。財政状態は全然変わらないんだから…」。岩手県大船渡市の仮設住宅で暮らす森田美智子さん(43)の表情は晴れない。
無職の夫(68)、中学3年の長男(15)、小学6年の長女(12)、保育園の次男(4)の5人暮らしで、6月に入居したが、喜んだのもつかの間。厳しい現実を突きつけられている。
震災で会社は美智子さんを解雇。夫の年金以外に収入がなくなった今、義援金などで支給された約75万円を切り崩している。
仮設では光熱費や食費など家賃以外は自己負担。食べ盛りの子供たちの食費だけでも月5~6万円と、生活費に月10万円は必要だが、今のペースでは仮設退去までの2年ももたない。
節約のため、消灯は午後9時。シャワーは短時間で切り上げ、夜はクーラーの代わりに扇風機を回す。来春、中学と高校に進学する子供たちの制服を買う余裕もない。「せめて仕事が見つかるまで支援が欲しいと思うのはぜいたくなのですか」と美智子さん。
入居者らが支援団体に呼びかけて物資を募る活動を始めた地区もある。大船渡中学校敷地内の避難所にはこれまで、行政を通して支援物資などが割り振られていた。しかし、隣接する仮設住宅には支援の受け入れ窓口となる自治組織がなく、支援は激減。スーパーも遠く、その日の食事に困る高齢者もいた。
そこで入居者の平山睦子さん(55)らが窓口となり、支援の呼びかけを開始。内陸の団体や個人から新鮮な野菜や支援物資を受け取れる機会も増えた。
平山さんは「本当に困っている人のために、行政は法に縛られず、柔軟な対応を」と訴える。
仮設入居では、各家庭の事情で求められる支援が多様化するという問題もある。大船渡市の鈴木昭浩総務課長(50)は「例えば家計の問題では『失職』か『債務』かで支援は異なる。一律に炊き出しや物資支援を続ければいいという話にはならない」と難しさを指摘する。
同市で支援を行うNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都)の大関輝一理事は、「被災者が支援の窓口すら知らない状態にあるのが一番の問題。支援団体と行政が互いの強みを持ち寄り、きめ細かな支援をしていかなければ、被災者の自立を支えることはできない」と話している。
0 件のコメント:
コメントを投稿