死にたくなってしまうことは誰にでもあるかもしれない・・・だけど、そこで歯止めが利かないってのはおかしいよ。
「死にたい、と言うんだったら自分で死ねよ」。こんな松井一郎大阪府知事の発言がネットで大きな議論になっている。
大阪・ミナミで起きた通り魔事件、2人を殺害した礒飛京三容疑者(36)は「自殺しようとしたが死ねず、人を殺せば死刑になると思ってやった」との供述を受けてのものだが、知事に対し「よく言ってくれた!」との賛同が多い一方で、「知事の発言として幼稚だ」といった批判も起こっている。
■30回も40回も色んな刺し方をして殺した
礒飛容疑者の犯行は非常に特異なものだった。2012年6月10日の午後1時頃、東心斎橋の路上を歩いていた音楽プロデューサー南野信吾さん(42)に料理包丁(刃渡り18センチ)で突然襲いかり腹や首などを刺した。テレビに登場した目撃者によると、南野さんに馬乗りになり「やめてください」と制止する手を払い除けながら
「首や腹、手など30回も40回も色んな刺し方をした。首に包丁の刃を押し付けた時に被害者は助からないと思った」
という。
その後、次のターゲットを見つけるため路上を40メートルほど歩き、たまたま自転車で通りかかったスナック経営の佐々木トシさん(66)と遭遇。佐々木さんがあわてて自転車の方向を変え、逃げたその時に背中や腹を刺した。
一旦は佐々木さんの元を離れ歩き出したのだが、また倒れている場所に戻り包丁を突き刺した。そしてなぜか約40メートル離れていた血まみれの南野さんの所に行き、馬乗りになって包丁を刺し続けた。警察官が駆け付けると、礒飛容疑者は素直に逮捕に応じたという。
報道による礒飛容疑者は5月下旬に新潟刑務所を出所したばかりで、死亡した2人とは面識が無かった。犯行前日の9日に知人を訪ねて大阪に来たが、貯金は20万円で家も仕事もなく、生きていけないから自殺しようと包丁を買った。しかし、死に切れず
「人を殺せば死刑になると思ってやった」
と供述しているという。
■「釈明会見などの予定はありません」と大阪府
南野さんは人気アニメ、ゲームの制作に関わる会社が設立した音楽レーベルのプロデューサー。通り魔に襲われ死亡したのが南野さんだとわかると、ネットでは死を惜しむ大量の書き込みが掲示板や「ツイッター」に溢れた。
その翌日の11日、松井阪府知事が記者団の前で、今回の通り魔事件について質問されると、
「死にたいと言うんだったら、自分で死ねよと。人を巻き込まずに自己完結してほしい」
と発言した。このニュースが流れるとネットが騒然となった。ネットの掲示板やブログには、
「これ役人が言っていい事じゃないだろ。自殺幇助にならんの?」
「現在の自殺者数にしたって行政の責任は少なくないというのに、身勝手な事だよ」
といったものや
「内心、みんなが思ってることじゃん。建前ばかり、喋る保身的な奴より好感もてるよ」
「正論だわー、公で言ってくれてすっきりだわ。ただの自殺志願者に言うのならおかしいけど、狂人には何も間違ってはいない発言では?」
などといったものが出ている。
松井知事はこうした議論をどう受け止めているのか。大阪府企画課報道グループに問い合わせてみたところ
「今のところ、特に騒動になっているわけではありませんし、釈明の会見をするなどといった動きもありません」
ということだった。
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