2012年6月10日日曜日

<やなせたかしさん>缶詰パンにイラスト 非常時、気持ち和らげて

可愛い!欲しい!・・けど高すぎだろ。


 ◇「手のひらを太陽に」テーマ、「生きる」メッセージ込め

 「アンパンマン」で知られる漫画家のやなせたかしさん(93)が、通販大手「フェリシモ」(本社・神戸市)が発売した非常食「缶詰パン」の缶にイラストを描いた。ゾウやチューリップ、イチゴに太陽--。カラフルな絵は、50年前にやなせさんが作詞した「手のひらを太陽に」をイメージしたという。非常時に被災者を救う缶詰パンに、やなせさんの「生きる」ことへのメッセージが込められている。


 「この詞はね、僕がすごく落ち込んでいる時に作ったんですよ。まさか自分の代表作になるとは思わなかったな」。半世紀前に書いた「手のひらを太陽に」について、やなせさんはこう振り返る。

 当時、やなせさんには漫画の仕事があまりなかった。することがなく、手のひらを見ていると、幼いころに郷里の高知で遊んだ「レントゲンごっこ」を思い出した。懐中電灯を体に当てる遊びだ。

 当時は停電が日常茶飯事。停電に備えて、やなせさんは家の中のあちこちに懐中電灯を置いていた。冬の真夜中、近くにあった懐中電灯をつけ、手のひらの下から当ててみた。

 「するとね、血の色がものすごく赤くて、真っ赤で。自分はすごく落ち込んでいるのに、血は元気だなあと」

 <手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮>

 有名な歌詞は、この体験から生まれた。

 歌詞にはミミズやオケラなど「あんまり立派じゃない動物」が登場する。「一文なしになった時、昔は『オケラになった』って言ってたんですよ。みじめな虫だったんです」。作詞当時の心境をしのばせるが、歌詞は「みんなみんな生きているんだ 友だちなんだ」と続く。

 缶詰のイラストのテーマに「手のひらを太陽に」を選んだのは「僕らはみんな生きている。花も草もみんな命があるんだから、何が入ってもいい」と思ったため。最初に思い浮かんだキャラクターは「手のひら」と「太陽」。でも、ミミズやオケラは登場しない。

 「オケラを描いても誰も知らない。当時はごく普通の昆虫だったのに、今はいなくなっちゃった」

 東日本大震災の後、やなせさんは「自分ができることをしなくちゃ」と、アンパンマンのポスターを被災地に送った。右手のこぶしを握って飛ぶ、戦うアンパンマン。「笑わなかった子どもが笑ったり、被災地でアンパンマンのマーチを歌っている、と聞いてうれしかったね」

 缶詰パンも被災地で使われることが想定されるが、イラストを描いたことで「非常時の食品って感じではない。ある種の楽しさがある」とやなせさん。企画したフェリシモの木野内美里さんも「このデザインで少しでも気持ちがなごんでくれればいい」と話す。

 やなせさんは最後に「生きる」ことについてこう語っていた。

 「精子と卵子が出会う確率は何億分の1で、命は一つの奇跡。だから命はね、われわれが生きてる地球のために使わないと。核兵器とか殺し合いとか、人間は非常にばかげてるんですね」

 缶詰パンは、1カ月1650円で2個ずつ届き、15カ月で全種類の味がそろう。金額の一部は基金に積み立てられ、被災地の子どもの心のケアなどに使われる。問い合わせはフェリシモ電話0120・055・820(平日9時半~17時半)。

0 件のコメント:

コメントを投稿