地元に貢献できないのは辛いですね。日本の子どもたちのために、他都道府県で経験を積んでください!
福島県が来年度の小中学校の教員採用の見送りを決め、県内で教師になることを目指していた学生たちに動揺が広がっている。採用の見送りは、福島第1原発の事故で多くの子供たちが県外に避難し、教員数が一時的に過剰になったため。多くの学生が県内の教育現場に進む福島大は、県に再考を促す要望書を提出したが、先行きは見えていない。【佐野優】
「心の整理がついていません」。福島大人間発達文化学類4年、長谷川遥さん(21)=福島県いわき市出身=は、こう打ち明ける。
長谷川さんは県内の中学校の数学教諭を志してきた。東日本大震災が起きるまで、もし来春の教員採用試験で不合格になっても、次年度以降も挑戦するつもりでいた。
しかし、原発事故が収束するめどはつかず、13年度以降の採用計画の不透明さは否めない。このため宮城県と千葉県の教員採用試験を受けることにはしたが、「福島に戻ってくることができるのか……」。不安を漏らす。
小学校の教員を目指す同学類4年、渡辺多恵子さん(21)=福島市出身=は「採用ゼロと知って、何も考えられませんでした」と話す。大学院に進んで、県の採用再開を待つことにした友人もいるという。渡辺さんは「地元に貢献したい」と考えていたが、気持ちを切り替えた。「場所にこだわらず、経験を積んで福島に戻ってこようと思います」
福島県教委は小中学校の教員として例年、80~130人を採用してきた。採用数が最多の福島大の学生は「地元志向」が強く、教員合格者の半数以上を福島県が占める。福島大の南俊二就職支援室長は「他県に優秀な人材を取られるのは福島の損失だ」と訴える。
原発事故を受け、福島県教委の15日現在のまとめでは、警戒区域内などの小中学校23校が休校に追い込まれている。文部科学省の調査(5月1日現在)では、幼稚園児から高校生までの約1万人が県外に避難しており、宮城県の1494人、岩手県の237人より圧倒的に多い。
岩手県と宮城県は来年度、予定通りの規模で教員を採用する。しかし福島県は高校教員の採用も例年の100人程度を30人程度に減らす方針だ。県教委は「県外避難がいつまで続くのか、見通しがつかない。13年度には採用できるよう努力したい」と説明している。
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