すっげー、こういうこと出来る人って尊敬します。
マンションの玄関をあけて室内に入ると、廊下に配管が延びていた。
「お湯を浴室に運んでいるんですよ」
配管をたどってリビングに行くと、その先には大きな樽(たる)のようなタンクがあった。室内の無駄な熱をかき集めて風呂をためる自作の「エコ給湯システム」だ。
製作者は、この部屋に住むシステムエンジニアの白岩(しろいわ)和也さん(44)=大阪市西淀川区。阪神大震災で「電気やガスの供給が不安定になり、既存のライフラインに頼る生活に疑問を感じた」ことから、ライフスタイルを変えたという。
まず手をつけたのは、意識改革だった。照明のつけっ放しをなくそうと、人間の動きを感知して照明を点灯させる人感センサーを台所に設置。待機電力をなくすため、オン・オフ・スイッチのついたコンセントを購入した。
そして、室内の熱効率を高めようと、部屋の窓ガラスにプチプチのついた透明の荷造り用シートを貼り付けた。省エネ生活にのめり込み、行き着いたのが、容量約200リットルのタンクを備えた自作のエコ給湯システムだった。
このシステムは、室内のさまざまな熱を水に吸収させ、お湯に変えるもの。
外部に熱を放出している冷蔵庫に、タンクから延びた配管を巻き付けて、管内の水に熱を吸収。放っておけば冷めて水になるだけの風呂の残り湯も有効活用し、冷蔵庫の熱で少し温まった水が循環している配管を、湯船に浮かべ、さらに水が温められてタンクに戻される仕組みだ。
またリビングの空気中の熱を吸い込んで水を温める自作の「ヒートポンプ給湯器」も併用し、タンクに湯を供給。ヒートポンプは電気を使うが、冷蔵庫の電気が二重利用できる。また、ガスを使わないのでCO2の削減もできるなど、総合的な省エネにもなる。
そのままにしておけばいずれ消えてなくなる熱だが、寄せ集めると大きな熱量に。一家4人が使用する風呂なら、季節によって差はあるものの、2~5時間で適温に達するという。
さすがにまねはできないかもしれないが、ここまでしなくても「一般家庭で、15%程度の節電はそれほど難しくない」と白岩さん。
「例えば、エアコンを掃除して冷房効率を上げる、冷蔵庫は物を詰め込みすぎずに自動製氷もやめる。照明をLED(発光ダイオード)に代える。これだけでもかなりの節電になります」。少しの積み重ねでも、今夏の電力不足に貢献できると指摘している。
◇
東日本大震災と福島第1原発事故の影響による電力不足の恐れは全国に拡大している。7月1日からは関西電力の一律15%程度の節電要請期間がスタート。個々人では、果たしてどのような節電ができるのだろうか。省エネの“達人”の生活から、そのヒントを探ってみた。
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