悲しい現実が・・・なんとかならないものでしょうかね・・・
東日本大震災から100日以上が過ぎた今も、岩手、宮城、福島3県で身元不明の遺体は1700人以上にのぼる。損傷が激しかったり、家族全員が被災していたりして、身元確定が難航しているほか、歯型などから身元がほぼ確定しながら、引き取る親族が現れずに身元不明とされる遺体もある。遺体は安置所で来るべき人を待っている。
「まだ、確認されてないんだ」。義母を捜しに、定期的に宮城県石巻市の遺体安置所に通う同県東松島市の主婦、阿部祥子さん(41)は、夫婦2人の名前を目にしてつぶやいた。
安置所の行方不明者リストには、夫婦とみられる男女の名前がずっとある。「名前があるのに確認されないなんて」と心が痛む。
夫婦は歯型などから、石巻市の無職、佐藤一夫さん(75)と妻の優子さん(78)=いずれも仮名=とほぼ確定している。しかし、今も身元不明のまま。火葬され、安置所に置かれている。
佐藤さんの自宅から男女の遺体が見つかったのは、震災1週間後の3月18日。平屋の家屋は天井までがれきに埋まっていた。
「遺体はとてもきれいで、一目で佐藤さんと思いました」。石巻署からの連絡で、4月に遺体を見た大家の男性会社員(62)は振り返る。
それでも身元が確認されないのは「親族などの確認が必要」(宮城県警)だからだ。県警幹部は「遺体の取り違いは許されない」と、親族確認の理由を説明する。佐藤さんには身元を確認してくれる親族がいなかった。
大家の男性も佐藤さんの身元確認をしてくれる人を捜そうと、賃貸契約の保証人に連絡を試みたが、既に亡くなっていた。「家の外にも笑い声が聞こえるくらい、仲の良い夫婦だった。引き取り手がいないのはふびんでならない」と話す。
警察庁によると、25日現在、身元確認ができていない遺体は1742人にのぼる。確認に当たっている宮城県警幹部は「損傷が激しかったり、一家全員が亡くなっていたりする人も多く、なかなか確認が進まない。本来なら聞き込みをして捜してあげたいが、今は行方不明者の捜索で手いっぱいだ」と話す。
「見つけてあげられなくてごめんね」。6月初旬、石巻市の遺体安置所で女性の泣く声が響いた。親族の男性の遺体は3月に見つかっていたが、写真では確認できず、歯型の鑑定で初めて身元が分かったという。
身元確認には、DNA型鑑定も導入されている。しかし、震災で被災した県警科学捜査研究所にはDNA型を照合する装置が1つしか残っていない。全国の警察に照合を依頼しているが、膨大な量で、数カ月かかる場合もある。
ただ、行方不明者と遺体のDNA型の照合に踏み切れない家族も多い。
宮城県石巻市の主婦、遠藤麻紀さん(38)は、損傷の激しい遺体を前に、行方不明の父、菱沼正明さん(65)と似ている遺体を見つけられず、DNA型照合をためらっていた。
思い切って、2遺体とのDNA型照合を依頼。合わなければ、違う遺体との照合、と続けるつもりだったが、警察には「そのような方法で照合していったら2年はかかる」と言われた。遠藤さんは「違うと思うと、照合に踏み切りにくい」と話す。
県警幹部によると、親族に身元が確認されていない佐藤さん夫妻とみられる遺体は、このままの状態が続けば「身元不明のまま無縁仏として葬られる」という。
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