測定器が足りないですよね。
東京電力福島第一原発事故の影響で、「身近な放射線量が知りたい」と、住民が独自に放射線量を測る動きが出ている。
第一原発から60キロ余り離れた福島市内では、子供の健康を気にする親が独自に放射線量を測り、地図を作っているほか、測定値をブログで公表している大学生もいる。放射線量が局地的に高くなる「ホットスポット」に神経質になる住民の不安がのぞく。
中学3年の長女(14)、小学1年の長男(6)、次男(2)を持つ同市渡利の主婦加藤真裕美さん(36)は、夫(43)が勤める会社から借りた簡易放射線量測定器を使い、4月上旬から2週間に1度のペースで線量測定を始めた。
福島市の調査では、原発事故から3か月が過ぎた6月15日、市役所渡利支所で、空間放射線量が毎時2・33マイクロ・シーベルトを計測した。国の基準値の3分の2程度だが、福島市役所東棟の同日の放射線量(毎時1・46マイクロ・シーベルト)と比べると、高い値だ。ただ、5月に毎時2・7マイクロ・シーベルトあった市立渡利小の校庭は、表土を除去する工事を実施したところ、同0・17マイクロ・シーベルト程度に激減した。
学校についてひとまず安心した加藤さんは、むしろ通学路や近くの空き地、茂みの方が心配になった。背の低い子供は、草木の茂みなど大人が思いもつかない場所に入り込んでしまうからだ。
今月4日、加藤さんは夫と2人で測定器を持ち、小中学校の通学路を歩いた。曲がり角や道路沿いの茂み、花壇などに簡易線量計を近づけ、数値を記録していった。通学路の側溝は毎時2・8マイクロ・シーベルト、花壇は2・4マイクロ・シーベルト、小学校の校門前は1・0マイクロ・シーベルト。アスファルトの路上は1・0~2・0マイクロ・シーベルトだった。
計測後は、数値の高いところに近づかないよう、自分の子供に注意するだけでなく、子供を持つ友達に地図を見せ、「あそこは数値が高いから行かない方がいいよ」と伝えているという。
地元の大学生も独自に放射線量を測定し始めている。福島大2年の染谷佳祐さん(20)と佐藤潤さん(20)は、簡易測定器を大学から借り、大学の中央広場で毎日測定し、結果をブログで公表している。2人は「市の発表の数値が本当に正しいのかを調べたかった。公表しているデータを行動の判断材料に使ってもらえれば」と話している。
気象と地形複合、高線量に 専門家分析
政府は、局地的に年間の積算放射線量が避難の目安となる20ミリ・シーベルトを超える可能性がある場所を「特定避難勧奨地点」に指定する方針を示している。こうした「ホットスポット」が伊達市や南相馬市などに現れた理由について、日本原子力研究開発機構の永井晴康グループリーダーは「風向きや降雨量など気象的条件と、山の存在など地形的条件が重なった」と指摘する。福島第一原発から放射性物質の大量放出があった3月15日午後、北西方向に放射性物質の雲が広がっていたと見られ、「雲の通過と降雨が重なり、高線量の地域ができた」と話す。
微粒子の大気拡散に詳しい群馬大の早川由紀夫教授(火山学)は4月上旬、民間による測定や国の公表データをまとめ、同原発から半径約300キロ・メートルの汚染地図を作成した。茨城県南部から千葉県、埼玉県、東京都の一部にかけ、周囲より放射線量の高い帯状の地帯が現れた。「一帯は海側から吹く風と、山から下りてくる風が関東平野上でぶつかり、雲を形成して雨を降らせる場所。都の水道水から放射性物質が検出されたのも、これで説明できる」と、早川教授はみる。
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