もっと早く、国や県が動けば除染もできたろうに・・・
福島第1原発事故で、国が指定した避難区域以外でも局地的に放射線量が高い地域「ホットスポット」などがある福島県内の自治体が、独自の取り組みに動いている。住民らの不安や不満に対処するためで、同県伊達市では住民が市内に避難したほか、他の自治体でも独自に放射線対策に乗り出した。
「家族の絆を保ちながら、元の生活に戻れる日まで頑張ってほしい」。伊達市役所霊山総合支所で20日、仁志田昇司市長が訴えた。同市はホットスポットに住む住民に、市内の放射線量が比較的低い地域の公営住宅を提供。この日は避難を希望した13世帯のうち10世帯に鍵が渡された。
鍵を受け取った主婦、大槻真由美さん(39)は夫(38)と長男(3)、次男(2)と移る。家の土を掘り返したり、壁を洗い流したりしたが、線量に変化はなく、避難を決めた。父母とは別居を余儀なくされる。「子供のために避難を選んだ。移りたくて移るわけではない」と打ち明ける。
家族4人で入居予定の別の主婦(26)も「5歳と3歳の子供のため。原発のせいで、お金がかかる。支援を受けられる公営住宅にした」と話す。
市内には年間累積放射線量が20ミリシーベルトを超えるとみられる「ホットスポット」が3地区に点在。国はホットスポットと推定される場所を「特定避難勧奨地点」として支援を行う予定だが、市は住民らの不安を受け、早めの避難を実現させた。大槻さんは「やれることを自分たちでやり、家族を守るしかない」と話す。
同じく放射線量の高い地域を抱える郡山市では、4月下旬から市内の小中学校、保育所の校庭・園庭の表土を除去する対策を県内で初めて実施した。福島市も学校など計193施設で夏までに表土除去をする方針で、二本松市、本宮市なども除去を決めた。
福島県は除染効果を調べるため、福島市の小学校3校で25日から実験を始める。
学校除染の指針を作るのが目的で、校庭やプール、校舎の外壁など、1校につき最低120地点の空間放射線量を測定。一部を水洗いで除染し、放射線量の変化を調べる。学校周辺の通学路も調査する。
国の対策に募る住民の不安。県では不安解消のため、「雨どいや遊具など細かく調べる」(災害対策本部原子力班)としている。
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