まったくその通り!!電力会社にも、しっかり取り組んで欲しいですよ!!
夏の電力不足に対応するため、事業所や家庭に15%の消費電力削減を求めた目標に対し、医療界が危機感を強めている。医療現場からは「節電で患者の命を削るわけにはいかない」といった声が上がっている。日本医師会が「適切な医療行為ができなくなる」と、医療機関を使用制限の適用から除外するように国に要望する事態になっている。(油原聡子)
政府が発表した今夏の電力需給対策は、昨夏の平日ピーク時の電力から15%削減を要求。契約電力500キロワット以上の大口需要家に対しては、昨夏の電力ピークを越えて使用した場合、罰則も検討されている。
これに対し、日本医師会の今村聡常任理事は「医療現場では、いつ何が起こるか分からない。電力使用のピーク時に一刻を争う患者が突然搬送されてきたら、手術延期はできない」と訴える。日本医師会では細川律夫厚生労働相などに医療機関の適用除外を求める要望書を提出した。
削減目標の対象に含まれてしまうことと同時に、医療関係者は消費電力削減が十分できず、計画停電が再度実施されることも危惧している。
震災直後に実施された計画停電では、手術や検査の延期、医療機器の故障などさまざまな影響が出た。政府は「計画停電は今夏は原則実施しない」というが、関係者の危機感は強い。
◆新たな“被災者”
機能の弱った腎臓の代わりに体内の余分な老廃物や水を除去し、血液をきれいにする透析。使用する透析液は病院内で作られている。夜間透析も実施し、外来患者が約180人に上る西新井病院付属成和腎クリニック(東京都足立区)の米田文男所長は「透析は電気と水がないと行えない。15%削減は患者さんの命を削ることにつながる」と不安を隠さない。
患者は週に3回来院する。「3、4日治療の間隔をあけただけで命にかかわることもある。病院でできる節電は空調と照明だけ」と、米田所長は訴える。
1423床と首都圏有数の規模を持つ東京女子医大病院(新宿区)。手術予定は数カ月先まで組まれ、変更すると診療計画に大幅な遅れが出る。麻酔科学講座の野村実教授は「節電で治療や手術ができなければ、新たな“被災者”を生むことにつながる」と話す。
◆自家発電にも問題
病院備えつけの自家発電機も切り札とはならない。東京都が震災後に都内646病院に行った調査では、回答のあった病院の8割が自家発電装置を所持するものの、最大稼働時間は3時間未満が最も多かった。自家発電による電圧などの微妙な変化で、医療機器が不具合を起こしたケースもあるという。
日本医師会が東京電力管内の医療機関を対象に行った調査でも「MRI(磁気共鳴画像装置)などが使えず、診療行為に影響が出る」「空調の過度の節約は熱中症を併発しかねない」などの声が上がった。
今村常任理事は「自主的な努力は最大限するが、治療に問題が起こってはならない」と話している。
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