2011年5月28日土曜日

「津波ごっこ」が流行 衝撃克服のため

子どものショックは、とんでもないですよね。


 東日本大震災の巨大津波に襲われた宮城県の沿岸地域の園児たちが、津波や地震の「ごっこ遊び」に興じている。「津波がきた」「地震がきた」の合図で子供たちが一斉に机や椅子に上ったり、机の下に隠れる。また、子供には不釣り合いな「支援物資」「仮設住宅」といった言葉も聞かれるという。「将来役立つ」「不謹慎だ」と評価は分かれそうだが、児童心理の専門家によると、子供たちが地震と津波の衝撃を遊びを通じて克服しようと格闘しているのだという。


 「徐々に回数は減ってきましたが、震災直後は『津波がきた。逃げろ』と叫ぶとみんなが一斉に少しでも高い椅子や机に上がる津波ごっこ、『地震だ』と叫ぶと机の下に競って潜り込む地震ごっこを子供たちはやっていましたね」

 仙台平野の南端、福島県境に接する宮城県山元町の北保育所の三門(みかど)弘子所長は、そう話す。同町は大震災で巨大津波が押し寄せ、死者・行方不明者が700人を超える甚大な被害が出た。水田のほぼすべてが冠水、特産のイチゴ産地も壊滅状態に陥っている。

 県内の太平洋沿岸地域を所管する県の中央と東部の児童相談所は、震災後に保育所などに聞き取り調査をして子供たちの心のケアに努めている。両事務所にも、津波の合図でジャングルジムを登ったり、砂場に勢いよく流した水を津波に見立てる津波ごっこの報告があがっているという。

 今回の大震災に限らず、平成5年の北海道南西沖地震で大きな津波被害を受けた奥尻島でも、津波ごっこが子供たちの間で流行したという。臨床心理士でもある藤森和美武蔵野大教授は「子供たちがレスキュー隊員役と遺体役に分かれる形の津波ごっこで、当時は物議を醸した」と振り返る。

 藤森教授は阪神大震災や新潟県中越地震で被災した子供たちを支援するため、夫の藤森立男横浜国大教授(産業・社会・災害心理学)とともに、災害を体験した子供たちのトラウマ、急性ストレス反応、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に関するハンドブックをまとめた経験から、「基本的にはアポロ11号の月面着陸という大きなインパクトを受けて月面ごっこがはやったのと同じ。災害を体験した子供たちは遊びを通して不安や怖さを表現し、心の中で克服しようとしている」と指摘する。

 このため、被災地ではごっこ遊びを禁止せずに見守る対応がとられている。子供たちが不安や恐怖を克服すれば、時間とともにこの種の遊びは自然に消失していくとみられるからだ。

 同時に、大人が頻繁に口にする支援物資や仮設住宅の聞きかじりで、「これ物資?」「仮設に入るの」など子供には不釣り合いな言葉もよく聞かれるという。

 藤森教授は「子供たちは震災後に背伸びをしたり、よい子を装ったりしているケースがある。子供たちの気持ちを安定させるには、身近な大人が安定していることが大切」と話している。

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