とりあえず、一歩前進ですね。2ヵ月半で・・・
東京電力は31日、福島第1原発2号機の燃料貯蔵プールにある水を循環させて熱を取り除く新たな冷却システムの運転を始めた。事故後、循環型冷却が行われるのは原子炉、プールを通じて初めて。原子炉建屋内に充満するプールからの蒸気を抑えるのが狙いだが、安定冷却までには約1カ月かかる。「どこまで冷却効果があるか分からない」とする専門家もおり、未知数の部分もある。
「工程表を前倒しできた」。東電の松本純一原子力・立地本部長代理が胸を張った循環型冷却の稼働。
2号機ではこれまで、蒸発した水を補う形で配管を通じて断続的に注水していた。しかし、プールの熱で生じた蒸気が天井の残る建屋内にこもり、作業の妨げになり、冷却効果も不十分だった。
新たなシステムは、プールから熱い水を取り出し、別の建屋にある熱交換器を通して温度を下げ、プールに戻す1次系と、熱交換器で受けた熱を建屋外の空冷式装置で逃がす2次系から成っている。
通常、プールの水温は30~40度だが、2号機プールは現在、70~80度あり、蒸発して失われる水の分だけ注入して冷やしている。新たなシステムでは、「1~2日で約60度まで下がる」(東電)とみているものの、熱交換器を通る水の温度差が小さくなるにつれて冷却効果も小さくなるため、安定冷却とされる約40度になるまで約1カ月かかるという。
東電は、2号機のノウハウを他号機にも導入することにしており、1、3号機は6月下旬、4号機は7月中旬の稼働を目指す。ただ、2号機に比べて3基は原子炉建屋が大きく損傷しており、設置工事に困難が伴うことが予想される。特に4号機は耐震補強工事が必要で、ハードルは高い。
2号機の冷却システムでは、予備の系統も準備されているが、不測のトラブルで「冷却停止」しないという保証はない。実際にこれまで、さまざまな作業が想定外の事態に阻まれてきた経緯もある。
大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「順調に冷却できても1カ月ぐらいかかる。何らかのトラブルで止まれば、さまざまな作業にも影響しかねない。綱渡りの状況だ」と指摘している。
0 件のコメント:
コメントを投稿