想定できた問題なのにね・・・しっかりしろ!!
今月に入り、各地で茶葉から基準を超える放射性物質が検出されている。いずれも出荷は自粛されているが、いまだに原子力災害対策特別措置法に基づく出荷停止措置は出ていない。どの段階で出荷停止にするか政府の方針が定まらないからだ。食品の暫定基準値は、お茶などの加工食品を想定しておらず、生産者側に立つ農林水産省と消費者側に立つ厚生労働省で見解が対立、調整が難航している。
「足柄茶」で知られる神奈川県南足柄市。今月初旬、「安全をPRする」として行った検査で、生茶葉から1キロあたり550~570ベクレルの放射性セシウムを検出した。乾燥加工した荒茶の数値はさらに高濃度の約3千ベクレル。県は「高い数値に驚いた」と声を落とす。
荒茶は乾燥で重さが約5分の1になり、その分放射性物質が濃縮される。そのため厚労省は16日、茶の産地14都県に、生茶葉に加え荒茶の検査も要求した。
ここで反発したのが茶の生産地だ。静岡県の川勝平太知事が「生茶葉と飲用茶で十分」と、荒茶の検査要請に応じない姿勢を示すと、ほとんどの自治体が同調した。
生産過程を所管する農水省も生産者を後押しする。茶葉を飲用茶にすると、放射性セシウムは荒茶の状態の30分の1~45分の1程度になるとして「生茶葉、荒茶とも1キロあたり500ベクレルという基準値では整合性がない」と主張する。
一方、暫定基準値を設ける厚労省は、食品衛生法で有害物質を含む食品の販売や加工が禁止されていることを盾に「荒茶の検査は必要」とゆずらない。1キロあたり200ベクレルという飲料水の基準値の放射性セシウムが検出された飲用茶は、荒茶の状態で6千ベクレルになると説明。「数千ベクレルの煎茶がスーパーに並んでいるのを消費者は納得するのか」(同省幹部)と指摘する。
政府内では、生茶葉の数値で出荷停止措置にするとの方向に流れが傾きつつあるが情勢は流動的。全国茶商工業協同組合連合会(静岡市)は「危険なものを隠蔽(いんぺい)し売るつもりはないが、現状では怒りの持って行き場がない」と訴えている。
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