2011年5月10日火曜日

<福島第1原発>工程表見直しへ 冷温停止へ課題山積

日本の未来のためにも、少しでも早く安定状態に持ち込んでほしいですね・・・

東京電力福島第1原発が東日本大震災で被災して11日で2カ月。政府と東電は先月17日に示した工程表に沿って、6~9カ月以内に原子炉内の温度を100度以下の「冷温停止」にするとの目標を掲げているが、克服すべき多くの課題がある。細野豪志首相補佐官は「事態は少しずつ進展しているが、全体としては引き続き目を離すことはできない」としており、発表から1カ月となる17日には工程表を見直す方針だ。

 作業が最も進んでいるのは1号機だ。10日には原子炉圧力容器の水位計が動作するよう調節する作業が完了。11日には格納容器の圧力計を調節する。原子炉を安定的に冷やすための循環型冷却システム設置準備も進んでいる。

 だが、課題もある。原子炉建屋内の一部で9日、1時間当たり600~700ミリシーベルトもの高い放射線量を測定。作業計画の見直しを迫られる恐れもある。

 2号機では、タービン建屋の地下などにたまっている高レベルの放射能汚染水が問題だ。汚染水の移送作業を続けているが、思ったほど水位が下がっていない。原子炉建屋内の湿度が高いことも課題になりそうだ。

 最も破損が大きい3号機では、圧力容器内の温度が下がりきっていない。注水量を増やしたが、効果が十分に得られていない。4号機は、爆発で原子炉建屋が大破した。東電はプールの健全性を確保するため、プールを下から支える構造物を設置する。

 日本記者クラブで10日、講演した松浦祥次郎・元原子力安全委員長は、夏場に密封性の高い防護服での作業は、熱中症になる恐れがあると指摘。長期化に対応するため、作業環境の改善と医療体制の充実が急務と指摘した。

 福島第1原発からの放射性物質の放出も続き、福島県内の土壌に放射性物質が蓄積することによる、影響の長期化が懸念される。

 ◇北西側地域の土壌、避難レベル超す

 文部科学省は4月、米エネルギー省と共同で航空機を使ってセシウム137(半減期約30年)の土壌蓄積量を調べたところ、原発の北西方向にあたる同県浪江町、双葉町、南相馬市、飯舘村、葛尾村などで、1平方メートルあたり300万~1470万ベクレルに達した。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)で、住民避難の判断基準とされた1平方メートルあたり55万ベクレル以上という数値を大幅に上回った。

 今回の事故による避難地域は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告をもとに、空間線量が年20ミリシーベルトという数値を基準としたため、蓄積が多くても避難対象ではない地域がある。

 文科省は「土壌の放射性物質が、すぐ体内に入るわけではない。測定場所によって濃度も異なる」と説明する。一方、今後の住民の帰宅や農業の可否の判断にあたり、土壌の汚染度が議論になる可能性がある。

 名古屋大大学院の山沢(やまざわ)弘実教授(環境放射能)は「土壌汚染は、土に付着するセシウムから出るガンマ線による外部被ばくが問題」と指摘、放射線量低減には土の入れ替えが有効と提案する。

 またガンマ線は土の中を通りにくい性質があるため、「同じ場所で土を上下で入れ替えることも効果がある。空間中の放射線量をできるだけ低く抑えることが大切だ」と話す。

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