前例のない事故、では済まされないんだよね。原子力を扱うって事は、想定できうる全てのことに対応できるようにしておかないと・・・
「原発は国策。責任は国にある」--。国会の東京電力福島原発事故調査委員会で28日、菅直人前首相はこう謝罪した。福島県の避難者たちは「それなら早く補償と除染を」などと政府の対応を批判。傍聴した双葉町の井戸川克隆町長(66)は、菅氏が経済産業省原子力安全・保安院職員らの力量不足を初動対応のまずさの一因としたことに「それで終わりにされたら、何の解決にもつながらない。町民のことを思うと悔しくて涙が出た」と話した。
町全域が原発から20キロ圏内の警戒区域にあり、役場ごと埼玉県加須市の旧県立騎西高校に避難した双葉町。今も約240人が校舎で生活し、井戸川町長もここで起居している。
「今さら反省されたり謝ったりされても。もうどうでもいい」。夫、義父と3人で避難生活を続けている女性(54)は、玄関脇の藤棚の枝を刈り込みながら吐き捨てるように言った。「先が見えないストレスを抱えてみんなギリギリ。とにかく早く町に帰りたい。願うのはそれだけ」
福島県内でも不満が渦巻いた。全域が警戒区域と計画的避難区域に指定されている浪江町の馬場有(たもつ)町長は、菅氏の「事故の想定が不十分だった」とする説明に対し、「官邸の危機感が希薄だったということだ」と批判。また、脱原発の必要性を強調したことに、エム牧場浪江農場(同町)の農場長、吉沢正己さん(58)は「野田(佳彦)首相が大飯原発を再稼働しようとしているようでは意味がない」と冷ややかに話した。
一方、放射線量が高いために当面は国の除染計画対象外となっている同県飯舘村長泥地区の鴫原(しぎはら)良友区長(61)は「菅前首相個人の資質をどうこう言っても仕方ない。村民は帰れるのか、除染はしてくれるのか、家は大丈夫か、補償は出るのか。それが心配だ」と語った。
◇「精いっぱい」を強調…菅氏
菅直人前首相はこの日、神妙な表情で「事故を止められなかったことを率直におわびしたい」と述べた。短気さから「イラ菅」とも呼ばれた菅氏。その「本領」を発揮する場面はなかったが、時折手ぶりをまじえて「精いっぱいやったつもり」と強調した。
午後2時、東京・永田町の参院議員会館に濃紺の地味なスーツ姿で現れた菅氏は「できる限り率直にお話ししたい」と硬い表情で切り出した。
だが、昨年3月15日未明、清水正孝社長(当時)が原発からの全面撤退を打診したとされる問題ではやや興奮気味。東電本社に乗り込み、幹部を?りつけたとされるが「叱責する気持ちは全くなかった」と6回も否定し「夫婦げんかの時より小さな声でしゃべったつもり」と冗談を繰り出した。
トップの判断について厳しい質問が飛ぶと、右手でマイクを握ったまま左手を大きく動かして持論を展開し、眉間(みけん)にしわを寄せて「上がってくるべきものが上がってこなかった」と東電や保安院などの情報提供不足を批判。2時間50分の間、飲み物を口にせず、最後はしわがれ声で応戦した。
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