2011年4月9日土曜日

東日本大震災 自粛の春、花見考 不謹慎→復興支援に

長期的な支援が必要になるってことは、経済活動を縮小させてはいけないってことになりますね。
行き過ぎた自粛もいけませんね。


「被災地のことを考えれば、飲んで騒ぐのは不謹慎」と各地に広がった花見自粛ムード。その後「消費の冷え込みは復興支援にならない」との世論が高まり、東京都内の名所は遅ればせながら例年のにぎわいを見せてきた。満開の花の下、被災地に思いをはせながら杯を重ねる人たちの姿もある。

 毎年100万人以上でにぎわう「千代田のさくら祭り」。都内有数の人気スポットが含まれ3月25日から10日間程度の開催予定だったが、先月14日に早々と中止を決めた。

 見どころの一つ、靖国神社では、桜の木の下などに「東日本大震災に鑑み花見の宴はご遠慮願います」と書かれた立て看板が設置されている。毎年立ち並ぶ露店の姿はない。

 7日昼、境内では会社員の山本薫さん(37)が同僚とコンビニ弁当を食べていた。「今年は夜の花見はしないと思う。節電で飲食店の看板も電気が消えているので、仕事が終わったら早く家に帰ろうと思ってしまう」。仕事途中に桜を眺めていた会社員の渡辺充朗さん(50)は「被災地に支店があり、会社の花見は中止になった。新入社員歓迎会もひっそりとやっている。出費が減るのでありがたい面もありますが」と苦笑した。

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 自粛ムードは震災直後から始まり、3月29日に石原慎太郎東京都知事が「同胞の痛みを分かち合うことで連帯感ができてくる」と自粛を呼びかけた。蓮舫・節電啓発担当相は4月1日に「権力により社会活動を制限するのは最低限にとどめるべきだ」と反論した。

 「南部美人」「あさ開」「月の輪」を製造する岩手県の酒蔵3社は2日から、動画サイトのユーチューブに「被災地以外では普通に花見をしてもらう方がありがたい」と蔵元や杜氏(とうじ)が呼びかける動画の投稿を始めた。映像は8日夜までに約42万回再生された。

 南部美人5代目蔵元の久慈浩介さん(38)によると、震災で蔵の一部が壊れたうえに、出荷が減るなど2次被害が出始めている。春は日本酒の消費量が上がる時期だが、前年の4割減に落ち込んだ酒蔵もあるという。久慈さんは「動画の反響は、『飲酒自体が不謹慎』との声もいただいたが、ほとんどが賛同でうれしかった。日本酒には人の心を癒やす力がある。東北のものを買って食べて、中長期的に支援をお願いしたい」と話す。

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 上野公園(台東区)では5日以降、管理する東京都が立てた宴会自粛を求める看板が順次撤去された。都公園課は「自粛の趣旨が周知されたため」と説明し、夜間照明は控えているが、日中は花見を楽しむ人たちでごった返している。

 東京でソメイヨシノが満開となった6日午後。文京区の門戸肇さん(72)は「ソフトバンクの孫正義社長のように100億円の寄付はできないけれど、僕は小銭で応援するんだ」と缶ビールを口にした。コンビニで例年より多めにつまみを買ってきたという。

 大学の同級生で集まった60代5人は、車座になって宮城県塩釜市の地酒「浦霞」の一升瓶を囲んでいた。茨城県竜ケ崎市の湯原昭広さん(66)は「仙台の同級生の自宅が損壊した。支援に行きたいけれど、腰痛持ちで力仕事は無理。買い物をすれば5%の消費税が巡り巡って被災地への支援になる」。まだ明るいうちにごみをリュックに詰め、ほろ酔いで公園を後にした。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは言う。「東日本大震災の復興は長期戦になり、今だけ自粛して被災地のことを忘れてしまうのが一番良くない。普通の生活をしながら心にかけ、役立てることは何かと考え続けていくことが大切ではないでしょうか」

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