2011年4月24日日曜日

<福島県>教員増の見込み立たず 子供の精神的ケア停滞も

児童生徒の心のケアは必要ですよね。法や条例に捕らわれない、弾力的な運用を!


 原発事故で多くの児童・生徒が避難生活を送っている福島県で、自治体の教員数を増やす加配教員の実施見込みが立っていない。放射性物質の拡散で避難区域が変更されると、一定数が地元を離れると予測され、教員配置が確定しないためだ。新学期が始まる中、学校で子供たちに対する精神的ケアが行えない状況も起きている。

 加配は特別な事情がある自治体の教員定数を上乗せする制度。被災地への加配は95年の阪神大震災の際も行われ、兵庫県内の公立小中学校に95~09年度、年最大207人が配置された。原則担任を持たず、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状が見られる子供の精神的ケアにあたる教育復興担当教員として勤務。3年後に県教委が行った調査で、児童・生徒の4089人が「心の健康についてケアが必要」と判断されるなど、長期間PTSDに悩まされる事例が報告されている。

 07年の新潟県中越沖地震でも、柏崎市や刈羽村など計4市村の公立小中学校52校に、65人が配置された。

 今回の震災でも、文部科学省は岩手、宮城、福島の3県に対して必要な加配教員を申告するよう指示した。岩手県は震災直後に小中学校の講師を約130人新規採用し、これを加配教員として認めるよう求めている。宮城県も今月下旬までに、ほとんどの小中学校で授業が再開される見込みで、百数十人規模の加配を求める方針。津波を思い出したり、余震で泣き出すなどPTSDの症状が見られる子供も少なくなく、両県とも加配教員を主に精神的ケアにあてる。

 一方、福島県は「避難している子供たちが地元に戻ってこられるか分からず、教員数が決まらない」と回答した。県教委によると、現在福島第1原子力発電所から30キロ圏内にある小学校34校、中学校18校の計52校は放射線量が高く使用していない。52校の教員は授業再開の可能性を考慮し、他校への再配置を完了させていないが、避難が長引けば100人規模の異動を行わなければならず、加配を算出する状況にない。

 22日には30キロ圏外にある飯舘村や川俣町の一部などが、年間の累積線量が20ミリシーベルトを超える恐れがある計画的避難区域に指定され、使用できない学校はさらに拡大する見通しだ。

 県教委は「避難生活で疲労している子供の精神的ケアを早期に行いたいが、放射線量が落ち着いて再開できる学校数が決まらない限り、必要人員は判断できない」としている。

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