後世に伝えるべきことを、今生きている我々は学んで行かなければなりません。
東日本大震災を受け、東南海・南海・東海地震の発生で大きな津波被害が想定される和歌山県の教育機関が、「3・11」の被害や教訓を生かそうとする試みを始めた。教員が現地調査を行って授業に取り入れる学校もあり、臨場感のある調査報告が生徒らの防災意識を刺激している。
東南海・南海・東海の連動地震では約6・7メートルの津波が24分で到達し、家屋701棟が全壊すると予想されている御坊市にある国立和歌山工業高等専門学校。今月20日、週1回のロングホームルームで臨時の防災授業が始まった。
災害に強いまちづくりを学ぶ環境都市工学科など1~3年の生徒計約160人を対象に、教員が震災後に福島、茨城などの被災地で独自調査した結果を報告。地震動と津波、液状化の3テーマを各学年ごとに解説する。生徒の研究意欲向上に役立てるねらいだ。
同科の辻原治教授(地震工学)は「地震動」の授業で、被災地の写真を示しながら特徴などを解説。東南海・南海・東海地震の被害想定と比較し、「もし(想定している)3地震が日向灘地震と連動すれば、マグニチュード9・0にもなる」と和歌山県での対策の重要性を訴えた。
3年生の斉藤聖也さん(17)は「現在の想定についてこれまで詳しく調べたことがなかった。ひとごとと思わず情報交換して対策を考えなければ」と話していた。
一方、地域の防災リーダーを育てる講座などを開いている和歌山大学防災研究教育センターも、岩手県陸前高田市などでの現地調査をふまえた新たな教育プログラム作りに乗り出した。今回の震災発生直後の和歌山県内の避難所や津波想定地域の避難状況も調査しており、課題を検証する。
また、同センターは県内の各市町村教委にもプログラムへの参加を呼びかけている。6メートル級の津波が想定される海南市ではプログラムに基づいて実践的訓練などを学校現場で行うために、来月から小学校や同センターとの協議を始める予定だ。同センター事務局の中筋章夫・創造教育課長は「防災に無関心な大人に訴えるには、子供への教育が大切。小学校や地域ぐるみで取り組めるようにしたい」としている。
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