遺族の方には申し訳ないけど、こればかりは、どうしようもなかったのでは・・・全員避難させようとしたわけだしさ・・・
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故直後、福島県大熊町の双葉病院の避難が遅れて患者らが多数死亡した問題で、同病院は30日、独自の調査結果を公表した。「多数の死亡は原発事故が原因」と結論づけ、「病院側の過失はない」とした。また、自衛隊や町などへの再三の救助要請にもかかわらず避難が遅れたことや、避難先への長時間の移動が患者の死亡に影響を与えたなどと指摘した。遺族からは「本当に病院に過失がないのか」「謝罪がない」などと反発の声も上がった。
双葉病院は患者らがどのような経緯で避難したかを独自で調査し、福島県いわき市内で遺族への説明会を開いた。病院患者の遺族ら64人と、隣接の老人保健施設「ドーヴィル双葉」利用者の遺族ら60人が出席した。
報告書は「原発事故と患者の死亡には因果関係がある」とし、病院側は説明会で「病院側に過失はない」とした。鈴木市郎院長は説明会で「たくさんの患者がなくなったことは残念だが、謝罪するつもりはない」との姿勢を示した。これに対し遺族側は「原発事故から1年半以上がたつのに、院長の謝罪がない」などと反発した。
病院の代理人弁護士によると、調査は11年5月に開始し、▽福島県災害対策本部▽大熊町役場▽自衛隊--など、患者の避難を担った組織に聞き取りした。ただ病院側の報告書は、政府事故調査委員会が今年7月末に公表した報告書とほぼ同じ内容で、新たな事実は確認できなかったという。病院側は今後も調査を継続し、遺族が東電へ損害賠償請求する際は調査で得られた情報を提供する方針だ。
◇遺族「弁解ばかり」批判も
双葉病院に入院していたおい(当時43歳)を亡くしたという同県富岡町の阿久津文雄さん(73)は「院長の言葉は簡素で感情が伝わってこなかった。遺族をばかにしている」と説明会の内容に満足できなかった様子だった。筋肉が衰えていく病気を患っていたおいの避難は昨年3月16日になってからで、二本松市内の病院に搬送された直後に死亡した。息子が亡くなり阿久津さんの姉(75)はショックで寝たきりになってしまったという。
ドーヴィル双葉に入所していた親族2人を亡くしたという大熊町の女性は「これまで報道されていた以外に新しい内容はなかった。(病院側の)弁解ばかりが目立って、本当にそうなのか納得できない」と話した。
一方、父親(82)がドーヴィル双葉の利用者だった同県浪江町の男性(54)は「父がどのように避難したのか、初めて知った。地震だけならまだしも、原発事故ではパニックを起こすだろう。避難が遅れたのは仕方がない」と語った。
◇双葉病院の避難問題◇
東京電力福島第1原発から南西4.5キロにある双葉病院(福島県大熊町)で東日本大震災後、入院患者らの救出・避難が遅れ、多数の患者が移動中や避難先で死亡した。昨年3月末までの死者数は40人。政府の事故調査委員会は「県や関係機関との連携不足、組織内の情報伝達の不備」と指摘した。自衛隊が患者を救助する際、病院関係者らは付近で待機していたが、県が「患者だけが残された」と誤った報道発表をし、「病院側が患者を置き去りにした」などと非難された。県は発表ミスを謝罪した。
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