イクジイ・・・呼び方はともかく、リタイアされた世代の方が子育てに関わるっていうのは、いいことですよね。
育児に参加する「イクメン」ならぬ「イクジイ」が注目を集めている。両親をサポートし、育児にかかわる祖父のことだ。今年は団塊世代が65歳を迎え、本格的なリタイアが始まる。孫育ての専門誌や百貨店などのイベントは花盛りだ。
イクメンを支援しているNPO法人「ファザーリング・ジャパン」は昨年4月から「イクジイプロジェクト」として、孫育て講座や講演などを開催している。代表理事の安藤哲也さんは「今の親世代は共働きも多く、現実的に支援が必要。中高年男性には家事も育児もしてこなかったという人も多いが、子育てにかかわることで家庭にも地域にも居場所ができる」と話す。
埼玉県川口市の元教員、石田正邦さん(65)は1年前、安藤さんの「誰でもイクジイになれる」という言葉で目覚めた。自分の子育ては基本的に妻任せ。乳幼児とは接したこともなく、近くに住む孫とも自宅に来たら遊ぶ程度だった。
だが、「子供の教育はあくまで親の役目。私はパパとママができないことをしてあげようと思った」。3歳と5歳の孫を連れ、電車で出掛ける。乗り方やマナー、沿線の駅などを教えた。「孫たちは普段と違うためか、とても喜ぶ」と笑う。絵本を読み聞かせたり、動物園に連れて行ったりして、写真とともに記録するようにもなった。
石田さんは「第二の人生でも生きがいは大事。経験や知識を生かして、イクジイになればいい」と話す。
孫育て専門誌も部数を伸ばしている。木楽舎創刊の「孫の力」は現在5万部。定期購読者は50~60代の男性が多いという。
孫と楽しめる趣味やデジタル機器入門など、孫との関係を深めるヒントになる記事を掲載。同誌副編集長の石川光則さんは「今の60代は“おじいちゃん”のイメージより若い。遊びを知っていて、時間も金銭的な余裕もあるから、親ができないことができる」。
東武百貨店(東京都豊島区)は昨年12月25日まで、同誌と連携した特設コーナーを3店舗で開設。祖父母から孫、孫から祖父母へのクリスマスプレゼントとして、知育玩具など14点をセレクトし、大いににぎわった。同店は「『3世代が安心して楽しめる』という百貨店のコンセプトに合う。継続して提案していきたい」と、卒業・入学シーズンの3月にも同様のイベントを検討しているという。
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