2012年1月1日日曜日

除染、手探り始動 対処特別措置法、施行

その除染で出来上がった商品はどうするんでしょうか。




東京電力福島第1原発事故で発生した放射能汚染土壌などの除染の枠組みを定める放射性物質汚染対処特別措置法が1日施行され、除染活動は本格化する。汚染土壌をどこに保管するのか。除染の効果はあるのか。1兆円以上の国家予算がつぎ込まれる前代未聞の除染には課題が山積している。

 昨年12月中旬、福島県飯舘村役場では、自衛隊員らが高圧洗浄機で道路に散水し、汚泥を取り除いていた。役場に「除染の前線基地」をつくるための先行作業だ。約2週間にわたって実施された除染は、歩道で毎時3・41から1・78マイクロシーベルトと半減、草地は4・24から1・52マイクロシーベルトへ4割に減少。効果は見られたが、今後は自衛隊員ではなく、業者など未経験の作業員による手探りの作業になる。

 福島第1原発から近い高濃度汚染地域は、国が直轄で除染を担う。原発から離れた地域でも放射線被曝(ひばく)線量が年間1ミリシーベルト以上の地域(政府指定=8県102市町村)では自治体がそれぞれ自前で除染を行う。自治体からは「どこから手を付けていいかわからない」との声も聞かれる。

 除染を最終的に完了させるにはこれ以外にも、いくつもの壁が立ちはだかる。

 1ミリシーベルトを超える放射能汚染地域は、総面積で秋田県にも匹敵する計1万1600平方キロメートルと途方もない。福島県の担当者は「除染するために1軒1軒個人の敷地へ立ち入りの同意を取らなければならないのか」と疑問を投げかける。

 除去物を一時的に置く仮置き場にしても選定作業が難航し、福島県の大半の自治体でいまだ決まっていない。政府の工程表では仮置き場での保管を「3年程度」と明示。その後の難題が中間貯蔵施設の設置だ。最大で東京ドーム22杯分という収容量で、最長30年間保管する巨大施設になる。

 環境省は、福島県双葉郡内の町村を建設候補地として検討し、平成24年度予算案で調査のため20億円を計上。26年夏に本体工事に着手できるよう、国による土地の買い取りも示唆しているが、地元民にとっては故郷を明け渡す苦渋の選択になり、難航も予想される。

 先送りされた問題は最終処分場の設置だ。工程表には「県外に置く」と明示されているが、同省内部では「受け入れてくれる自治体があるのか」といった意見が根強く、予算案に調査費すら計上されていない。地元は中間施設がそのまま最終処分場になることを懸念している。

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