楽しんでやれるなら、いいですよね。強制感がないよね。
電力不足懸念により、関西では、寒い冬も、暖房の節約などの節電に取り組む。そんな我慢を強いる辛い節電を、楽しみに変えてしまおうという銀行がある。近畿大阪銀行は、自宅でもゲーム感覚で節電してもらうため、10%の節電を達成した社員に対し、商品を贈呈するコンテストを行っている。このコンテストは、昨年夏に続く取り組みで、夏は達成者のうち2割が前年比30%以上もの節電を成し遂げた。その“猛者”たちの節電術の裏技の一端をのぞいてみた。
近畿大阪銀は昨年7~9月、社員が家庭での電力使用量を前年同時期と比べ15%減らす取り組みを実施した。「せっかく節電するのなら楽しんでやった方がいい」(経営企画部)ということになり、達成者全員に東北地方の名産品「会津武者煎餅」を贈呈するコンテストを企画した。
東日本大震災の被災地を応援する意味合いもあり、達成者のなかから抽選で10人に5千円相当の豪華賞品をそろえた。喜多方ラーメンセット▽川俣シャモのくん製▽高級米▽高級コーヒーゼリー-の中から好きなものを選べる。
しかし、いうは易しいものの、行うは難しいというのが節電だ。しかも、節電期間が3カ月という長丁場にわたるため、同行は社員に刺激を与える目的で、折り返し点となる8月にアンケート調査を実施した。
効果的な節電方法を探そうとすると、個人がそれぞれに節電しているのでは限界がある。このアンケートは、各人が具体的にどのような方法で節電の効果を上げているのかを回答してもらい、そのなかで優れた技を見つけ、全社員で共有することで、節電効果を高めようという狙いがあった。
「昼間は涼しいところへ出かける」や「家電の使用は1つの部屋で」といったオーソドックスな方法から、「電気代の減少分を子供の小遣いにした」など、インセンティブを導入し、モチベーションを高めようという“ニンジン”作戦もあった。また、「冷蔵庫の中にカーテンを取り付けた」といった生活の知恵を取り入れた裏技などが続々と紹介された。こうした技の数々を自分の節電に取り入れ、後半の節電効果を高めたのだ。
そして、11月には目標達成者の集計が終わり、商品が配布されると、支店や各部署では歓声が上がるなど、大いに盛り上がったという。「節電をするきっかけを作ってくれ、ありがたい」との声もあがった。
参加したのはすべての役職員。前年の電力使用量明細が残っているなど、実際に前年の夏と比較可能な社員のうち、達成者101人が申告した。
内訳は15~19%が31人、20~29%が51人、30%以上は19人いた。最大の削減幅を記録した社員は実に40%を超えたが、家族構成や生活様態の変化など特殊な事情があるとみられるケースもあるので「一概に評価するのは難しい」。
今冬のコンテストも企画は同じだ。3月末まで、節電幅10%以上が目標になる。同行経営企画部は「冬の節電の方が夏よりも難しいといわれているが、達成者は増えると思う」と自信たっぷりだ。
関西電力管内は原子力発電所の再稼働の目途が立たず、今年の夏も節電が必要になるとみられるが、同行は「社会的要請がある限り、節電コンテストは続けたい」と宣言している。
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