警戒区域は除染しないで、最終処分場にしてください。移住ができるよう、補償をしてあげてください。それが、一番合理的だと思う・・・
東京電力福島第1原発事故に伴う除染作業の工程表が26日、公表された。浪江町や双葉町などの警戒区域と飯舘村などの計画的避難区域は、3月末までに新たに3区分に再編され、その後に除染が始まる計画だ。だが、あまりに広範囲の放射性物質の汚染に、地元からは除染の効果とともに除染後に地域社会が復活できるのかどうか、疑問の声が上がる。
福島県浪江町の馬場有町長は「低いところから除染する考えは分かるが、年50ミリシーベルト以上の高線量地域の方針は、ほとんど示されていない。戻れる地域と戻れない地域で町が二分されてしまう」と懸念する。「帰還困難ということなら移住のための費用補償など、国の責任できっちり提示してほしい」と話した。
住民からも地域社会の再建に懐疑的な声が出ている。同町の元飲食店経営者で、郡山市に避難中の渡辺満さん(74)は「新しく町民が集まって暮らせる場所の提供や賠償を迅速にしてもらい、新たな生活に落ち着きたい」という。
飯舘村大倉地区の区長で、相馬市の仮設住宅に避難する山下忠さん(64)は「除染しても、また山から放射性物質が流れてくる」。「除染できたとしても、若い世代は『帰らない』という人ばかり。コミュニティーがなくなった場所に帰る気にはならない」とあきらめた様子。
川内村の農業、松崎安延さん(60)は「急いでやってくれるに越したことはない」と話す。ただ、気がかりは、やはり山からの放射性物質だ。同村はほぼ全域が阿武隈山地に囲まれている。警戒区域内に自宅がある別の住民も「うちは沢の水を生活用水にしている。山全体を除染しない限り、水の汚染は残る。自宅の周辺だけ除染されても住めないだろう」と話す。
埼玉県加須市の旧高校で避難生活を送る福島県双葉町の農業、谷充さん(70)も「除染したからといって町に戻れるのか。以前の双葉町に戻るのか。今の我々には除染の計画よりも日々の暮らしが大事」とあきらめたように淡々と話した。
◇福島県知事「速やかに具体的な計画を」
福島県の佐藤雄平知事は「今回は基本的な考え方が示されたもので、避難を余儀なくされている県民のため、市町村の意向を十分踏まえ、速やかに具体的な計画を策定し、除染を推進すべきである」とコメントを発表した。
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