なんていう船長なんだ。国民性なんだろうか?
イタリアの豪華客船「コスタ・コンコルディア」の座礁事故は、徐々に原因が明らかになってきた。船長が、本来の航路から外れてジリオ島に極端に船を近づけたために岩礁に乗り上げた可能性を指摘されている。
島に接近した理由は、船長が「島民に挨拶する」ためだったと伝えられた。SNS「フェイスブック」には、乗務員の男性の妹が事故の30分前に「もうすぐ船がジリオ島に近づいてくる」と書き込んでいたようだ。
■船長が給仕長を呼び「島のそばに来たよ」
イタリアの主要紙「スタンパ」(電子版)は2012年1月16日、「大惨事の前、フェイスブックに『コンコルディアが近くを通る』との投稿」と題した記事を配信した。数人の目撃者証言として、この客船の食堂の給仕長を務める男性が、座礁の「原因」が自分にあると知ってショックを受けていると報じた。
男性はジリオ島の出身。記事によると船長は、島に住む彼の家族への「挨拶」として沿岸に接近するうちに、岩礁に乗り上げたのだという。その「証拠」として挙げられたのが、給仕長の妹がフェイスブックに投稿した内容だ。書き込んだ日時は1月13日の21時8分で、
「間もなく、コスタ・コンコルディアがとても近くを通過する」
と綴っていた。続けて、「(寄港地の)サボナへ向かう私の兄に挨拶しなきゃ」とある。彼女のプロフィルには、住所がジリオ島となっている。
船が座礁したのはこの投稿の直後、現地時間13日の21時30分ごろとみられる。この女性は現在、限られた人以外にはフェイスブックの内容を非開示にする措置をとっており、その後何か更新したかは不明だ。一方、給仕長とその妹の父親はスタンパ紙に、「客船は毎週航行しているが、息子が島に船を近づけるように(船長に)頼んだことは、今回を含めて1度もない」とコメントしている。島への接近は、フランチェスコ・スケッティーノ船長の独断だったというのだ。
別のイタリア紙「レプブリカ」(電子版)は、ジリオ島に近づいた際に船長が給仕長を呼び、
「こっちに来て見てごらん。君の島だ。ジリオ島のそばに来たよ」
と声をかけたという目撃談を伝えている。加えてスケッティーノ船長は、以前船長を務めていたジリオ島在住の男性にも「挨拶」するため、汽笛や照明を使って知らせようとしていたという。当の元船長は記事内で「自分は知らない」と話しているが、これらが事実であればスケッティーノ船長が「私用」で航路を勝手に変更した結果、重大な事故につながったことになる。
■船長を糾弾するフェイスブックページ
船長の一連の行動に対しては、日を追って批判が高まっている。現在船長は地元検察当局に身柄を拘束されているが、その前にイタリアのテレビ局の取材に対して、座礁した原因について「岩の突出は海図になかった」と弁解し、航路も「(島の)海岸から300メートル離れていた」と主張した。
だが実際は、ジリオ島から目と鼻の先の沿岸で船は浅瀬に乗り上げ、今も横倒しとなった無残な姿をさらしたままだ。本来、最後まで船にとどまるべき船長が真っ先に逃げ出し、島の岸辺で沿岸警備隊に見つかって船に戻るように促されても拒否した、との話もある。
フェイスブックには、スケッティーノ船長を糾弾するページが開設された。そこには、「自分の船なのに、乗客を置いてさっさと逃げるとは」「ほかの客船の船長もこんなに臆病なのか」と船長個人を責める書き込みもあるが、船を運航していたコスタ・クロチエレ社に対しても「乗員を十分教育していないのではないか」と疑問を投げかける人もいた。
乗客の一部は「コスタ・コンコルディア1月13日」というグループをつくって、フェイスブック上にページを立ち上げた。事故に関心を寄せる人たちからの書き込みも多く、犠牲者を悼む内容や、事故で被害を受けた乗客に向けて責任者に賠償を求める際のアドバイスを送るものも見られる。
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