原因が分かってよかったけど、腑に落ちないよね。そもそもそんな人体に悪影響の物質をふんだんに使った印刷物って大丈夫なの?
全国の印刷会社従業員に胆管がんの発症が相次いで確認されている問題で、厚生労働省は31日、元従業員ら13人の発症が確認された大阪市中央区の印刷会社「サンヨー・シーワィピー」についての調査結果を発表した。汚染された空気の半分以上が作業室内で環流する空調システムの不備が判明。原因と疑われる化学物質が最大で基準の21倍だった可能性があることも分かった。
調査は独立行政法人「労働安全衛生総合研究所」(東京都清瀬市)が4回実施した。
研究所によると、地下1階にある校正作業室では多くの発症者が出たとみられる06年以前、室内全体の排気装置や排気ダクトの他、床下には印刷機ごとの排気装置があった。
発表では、排気装置が内部の空気を浄化しないまま、途中で取り入れた外気と一緒に室内に戻していた。化学物質を扱う作業場などでは通常、環流する空調はないが、ここでは汚染された空気の環流率が56%に達していた。また、化学物質は空気中でかき混ぜられたとみられ、床下装置はほとんど機能しなかった。
この状態で、インク洗浄剤に含まれ原因物質と疑われている「ジクロロメタン」「1、2-ジクロロプロパン」の濃度を測定。ジクロロメタンは米国で示されている基準の最大7倍以上の360ppm(ppmは100万分の1の濃度)、ジクロロプロパンは同21倍の210ppmに上った。
研究所は「ジクロロプロパンは、急激な中毒症状を起こしかねない数値に迫る危険な値だ」と話している。
同社では元従業員ら発症した13人のうち7人が死亡。遺族も含めて12人が労災認定を申請している。厚労省は6日に第1回を開く労災認定の検討会で症状との関係についてさらに議論する。
◇「大いに疑問を感じる」遺族
40歳代の息子を胆管がんで亡くした男性は「息子は換気の悪さを感じてサンヨー社を退職したが、やはり環境は劣悪だったのか。会社は良い製品をつくるために温度や湿度を一定に保とうとしていたようだが、換気が悪いのは単なる無知なのか、危険性を知っていたのか、大いに疑問を感じる」と話した。
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