2012年8月12日日曜日

中2女子は暴風警報の中、校門で待ち伏せされた 奈良で劇烈いじめ

なんで、いじめる側って大体が集団なんだろうね。結局、いじめるほうも弱いってことなのかな。

 奈良県桜井市の市立中学2年の女子生徒(14)が、同級生の女子6人から腰を蹴られるなどし、奈良県警が傷害容疑で捜査を始めている。放課後に待ち伏せしていた同級生に受けた集団いじめ。大津市の中2男子の自殺を機に、いじめが社会問題としてあらためてクローズアップされる中、学校は、夏休み中も緊急登校日を設けて全校生徒にいじめ防止を啓発。県教委もスクールカウンセラーを増員するなどし、潜在化、巧妙化するいじめ問題の対策強化に乗り出している。



 ■「間違った噂」

 いじめ問題は6月19日に起きた。

 学校の説明によると、暴風警報の発令で同日午後3時ごろに一斉下校となった際、同級生6人が校門の外で女子生徒を待ち伏せていた。そして、出てきた女子生徒を取り囲み、そのまま近くの空き地に連れ出した。

 その場で、同級生の1人が女子生徒の腰や足を蹴った。他の生徒も次々と、かばんを蹴るなど暴行を加えたという。

 待ち伏せをした理由について、加害生徒たちは学校の調査に対し、加害生徒の1人と男子生徒の交際に関して「間違った噂」を女子生徒に吹聴されたとして、「詰問するためだった」と説明した。

 一方で、被害を受けた女子生徒は「噂はしていない」と全面否定。両者の言い分は食い違った。

 ■非を認めた学校

 いじめ問題の発覚後に会見した学校側は、加害生徒側と女子生徒の間には、昨年からトラブルが続いていたことを明らかにした。トラブルは、口論や取っ組み合いなどを含めて計12件に上った。

 最初は女子生徒が中学に入学した直後の昨年5月。複数の生徒に取り囲まれ、悪口を言われたとして、女子生徒の保護者が学校に相談していた。

 しかし、学校側は適切な対策を講じないまま、事実上、問題を放置。その後も同様のトラブルが続いたという。

 学校側は当初、12件のトラブルについて「生徒同士のけんか」と認識していた。しかし、今回の事件発覚後、改めて調査した結果、7件を女子生徒に対する「集団いじめ」と認定した。

 一連の対応について学校は非を認め、「いじめという視点での取り組みが甘かった」と謝罪した。

 ■涙ながらの謝罪

 加害生徒6人と保護者は7月29日、学校内で非公開で被害生徒の保護者と直接面会した。

 学校によると、その場で加害生徒6人が全員、「暴力をふるって悪かった」「もう絶対にしません」と謝罪の言葉を口にした。加害生徒の中には、面会後に廊下で涙ぐむ様子もみられたという。

 しかし、完全な和解には至らなかった。

 被害を受けた女子生徒の両親は面会終了後、校長に「加害生徒らが深く反省しているようには受け取れなかった」と話したという。

 被害を受けた女子生徒本人も「(加害生徒の)顔を見るのがつらい」として、この場には出席しなかった。

 ■夏休みの「緊急登校日」

 学校側は今後も、女子生徒と加害生徒の保護者同士で話し合いの機会を設けることを確認。加えて、いじめ問題の再発防止への取り組みも始めた。

 夏休み中の7月31日を「緊急登校日」とし、集まった全校生徒約780人に対して、校長が校内テレビを通し一連のいじめ問題の経緯を説明した。

 「いじめはあってはならない。いじめのない学校を目指そう」。校長が呼びかけると、生徒たちは神妙な面持ちだったという。

 この日は体育館で保護者集会も開かれた。

 「下校時の見守りを強化してほしい」「生徒同士の異変に気付けば、すぐ学校に連絡できる態勢を整えてほしい」…。

 保護者からは、次々と要望が寄せられた。学校側も要望を踏まえ、教員と保護者による見守り活動を強化させる方針だ。

 ■捜査と再発防止

 奈良県警桜井署は被害生徒側から提出された被害届を受理し、傷害事件として捜査を始めている。

 同校によると、すでに学校関係者らが任意で事情聴取を受けたという。

 県警は県内署長会議でも、原山進本部長が幹部に対し、いじめ問題は関係機関と連携して対応するよう訓示した。同署では、加害生徒が刑法に触れる行為をしていたかを慎重に調べている。

 一方、今回のいじめ問題を受け、女子生徒の保護者は県教委にも再発防止を要請した。

 県教委は、この学校に対し、担当のスクールカウンセラーの滞在時間を延ばすことを決定し、8月からは1人増員して2人態勢とした。

 一方、県も今回のいじめ問題を深刻に受け止め、市教委や学校の一連の対応を調査する「検証チーム」発足を県教委に要請。県教委は7日、有識者による検証チームを発足させた。

 初会合では、被害を受けた生徒や保護者からも直接事情を聴き取る方針などを決めた。今秋に報告書をまとめる予定だ。

 荒井正吾知事は「学校内の犯罪行為を直視して考えないといけない」とし、いじめ問題で学校などが警察に通報する基準となるマニュアル作りにも着手する方針を明らかにした。

 ■全校生徒を家庭訪問

 今回のいじめ問題について、校長は産経新聞の取材に対し「当初からいじめと判断し、踏み込んだ指導をしていれば傷害事件には至らなかった。指導の甘さを痛感している」と悔やんだ。

 学校側は今後、1~3年の各クラスの担任が全校生徒を対象に家庭訪問し、いじめ問題で悩みを抱えていないか聞き取ることにしている。

 一方、今回のいじめ問題で被害を受けた女子生徒は6月20日以降、登校しておらず、夏休み中に1人で補習授業を受けているという。学校側には、夏休み明けの9月以降、女子生徒が通常の授業に復帰できるよう、サポートする課題も残されている。

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