2012年8月19日日曜日

<石巻・大川小>6種のヒマワリになり「6人が帰ってきた」

「6人のヒマワリ」がこの夏も咲いた。宮城県石巻市福地地区に住む佐藤ちよえさん(73)宅裏で、昨年3月の東日本大震災前にはなかった黄色の花が揺れる。市立大川小6年だった孫のみずほさんら津波で亡くなった地区の児童6人の生まれ変わりのように昨夏、形や大きさが異なる六つの花々が初めて咲いた。今夏はそれぞれの家近くにも植えられ、笑顔のようにほころんでいる。
誰も種を植えていないのに、ちょうど6種って、不思議ですね。本当に生まれ変わりなのかも!



 震災で、海寄りの大川小にいた、みずほさん▽同級生の加納愛香さん、弟で2年の悠登君▽5年の紫桃千聖(ちさと)さん▽3年の今野誠君▽2年の佐藤来旺(らいお)君の6人が津波にのまれた。地区には大きな津波被害はなかったが、佐藤さん宅裏も川を逆流した海水につかった。

 何も育たないと思っていたその場所に昨年の春過ぎ、芽が出た。津波で種子が流れ着いたのだろうか。孫の写真に涙していた佐藤さんの目に昨年7月、まぶしい黄色が飛び込んできた。元気に真っすぐ伸びた茎は、どれもヒマワリに見える。初盆前に次々花を結んだ。

 よく見れば、形や大きさなどが違う花が6種類ある。「この花は丸っこくて悠登君に似ているね」「花びらが細くてかわいいのが、うちの孫」。数も同じで6人の生まれ変わりのようだ。最年長のみずほさんが「みんなを連れて帰ってきたんだ」と感じた佐藤さんが、それぞれの家庭に届けると、つらくて話しきれなかった孫や子の思い出話であふれた。

 佐藤さんは「子どもたちからの贈り物」を毎年咲かせようと、種を6種類に取り分けて保管。愛香さんと悠登君の祖父、加納正治さん(69)の協力を得て、今年は5月から加納さんのビニールハウスで育て、大きくなってからそれぞれの家庭へ植えかえた。

 「こんな不思議なことがあるなんて。笑顔の子どもたちが帰ってきたみたい」と喜ぶ佐藤さん。正治さんは「これを育てていくのが、これからの俺の役目だ」と花びらを大切そうに見つめる。自宅の居間から見える場所にヒマワリが育つ紫桃千聖さんの祖母のみさ子さん(80)は、「毎日朝から晩までながめては孫を思い出しています」としみじみ話す。

 静かになった地区を、6人のヒマワリが明るく照らしている。

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