2011年9月19日月曜日

旬のキノコ試練の秋、「自主検査もう限界」…栃木

しっかりと行政がチェック体制を作らないと!!


 福島第一原発の事故を受け、各地の「秋の味覚」に影響が広がり、栃木県内でも、県民に人気の高いチタケなどキノコの売り上げに影を落としつつある。

行政の放射性物質検査が実施されていないことが、消費者の不信を招いている面もあるようだ。検査は個人や業者の自主性に任せられているが、関係者から「自主検査はもう限界」と悲鳴も上がっている。

「野生きのこの販売に注意しましょう。放射線の影響を受けやすいと言われています」

県は8月上旬、農産物直売所への出荷者向けに注意喚起のチラシを作成した。県内では毎年夏、だし汁などに重宝するチタケ採りが盛んだ。チタケは植物の根に寄生して成長するので人工栽培できず、自生しているものを採取するしかない。このため、自然界の影響を受けやすいとされている。放射性物質の影響も懸念されているが、流通実態が不明なため、県の検査は行われてこなかった。

関係者は「自己防衛」に踏み切らざるを得なくなっている。近隣の一般家庭から持ち込まれる野生のキノコを買い取り、店頭で販売している日光市大桑町の「きのこの杜(もり)」では取引先に依頼し、チタケの放射性物質検査を実施し、安全性を確認した。

放射性物質の影響について、常連客の多くは気にしないで購入していくという。17日に店を訪れた鹿沼市板荷の阿部和雄さん(82)も「チタケは毎年の楽しみ。今年も食べたけど、栃木産は安全だと聞いている」と意に介していなかった。一方で最近、店に放射線測定器を持ち込み、商品に当てて自ら調べる買い物客の姿も見られるようになった。

男性店長(64)はチタケについて「昨年に比べて今年は不作で、夏は入荷量も半分に減っていたから検査もできた」と説明する。「これからのキノコを全て自主検査するには費用や手間がかかりすぎる」

今月下旬からは本格的なキノコシーズン。日光ではアミタケやハツタケなどが採れ、店に持ち込まれる量も急増する。店長は「シーズンは11月まで続く。天然のキノコを楽しみに遠方から来る客もいるので、少しでも危険性があるなら、市や県が『販売するな』とはっきり言ってほしい」と訴える。

一方、同じく秋の味覚のクリについて、県は2010年度の生産量が全国8位(約541トン)ということもあり、主要産地の宇都宮市と那須烏山市で検体を9月上旬に採取して検査を実施。結果は放射性セシウム、放射性ヨウ素ともに検出されず、関係者を安堵(あんど)させている。

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