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「子どもが東北の野菜や牛肉を食べると健康を害する」とテレビで話した武田邦彦・中部大教授の発言が波紋を呼んでいる。名前を挙げられた市の市長が武田教授へ抗議メールを送り、教授が反論メールをインターネットで公開する騒ぎになっている。
武田教授発言は、2011年9月4日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ=大阪市)であった。子どもからの質問に答える形で、東北の野菜や牛肉について「できるだけ捨ててもらいたい」などと指摘した。
■市長「農家の感情を逆なで」
出演者の中からは、厳しい口調で「言い方がおかしい。取り消すべき」との反論も出たが、武田教授は「取り消しません」と応じなかった。例として岩手県一関市の名前に触れながら、「(子どもが食べれば)健康を壊します」などと繰り返した。
もっとも、武田教授は、農家が1年間休業しても大丈夫なように国が補償をした上で、土壌を除染した後に農作物の生産を再開すべきだとも訴えた。
一関市の勝部修市長は9月6日、「首長として強く抗議します」とするメールを武田教授に送った。「農家の感情を逆なでする非常識な発言である」とのコメントも発表した。
一方、武田教授は7日に反論メールを送り、「市長の了解を得て」ブログでも公開した。
反論はかなり長めだ。結論としては、「恐縮ですが、事実ですから取り消しはいたしません」。農作物は産地表示のみで、具体的に「何ベクレル」と表示がない問題点などを指摘しつつ、国が設けている農作物などの暫定基準値も「設定が高すぎる」と問題視している。
一関市によると、武田教授の反論メールを受けて勝部市長がどう対応するかは、9月8日午後現在、まだ分からないという。
■放送局「広く議論されるべき問題提起できる」
また、市長のメールでの抗議について、数百件のメールが市に届いているが、多くは市長抗議に対して厳しい意見だ。「武田教授が言っていることの方が正しいのでは」という声が少なくないそうだ。
一関市のある関係者は、「(農作物などは)検査されており、暫定基準値を上回れば出荷されない。市場に出回るものは安全なので冷静に考えてほしい」と戸惑っていた。
農林水産省などのサイトをみると、8月5日に検査した一関市の「きゅうり、トマト、なす」は、いずれも放射性セシウムは「検出せず」だった。
一方、岩手県は9月8日、一関市の農家から出荷された肉牛2頭から国の暫定基準値を超す放射性セシウムが検出されたと発表した。流通しないよう廃棄処分にする。8月25日に岩手県産肉牛の出荷が再開されてから国の基準値を超えたのは初めて。
武田教授は、資源材料工学が専門。地球温暖化論など幅広い分野で定説と異なる自説を展開し、著書やテレビ出演で注目を集めている。
武田教授発言をめぐっては、放送した読売テレビも番組サイトで見解を9月7日に公表した。「意見が分かれるテーマではありますが、国全体で広く議論されるべき大切な問題が提起できると判断して、今回の放送に至りました」としている。
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