2011年9月25日日曜日

推計140万人、流産繰り返す「不育症」 助成自治体が急増

こういったことに税金を使うことは、将来の日本のために良い事だと思います。


 妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」。厚生労働省研究班の調査では、国内に140万人の患者がいると推計されている。治療で約8割が出産可能とされているが、ほとんどが自費診療のため、患者には子供を失った精神的負担だけでなく、金銭的負担も重くのしかかる。昨年、全国で初めて岡山県真庭市が治療費の助成を始めたのを機に助成制度を設ける自治体が急増している。

◆高額な治療費

「一度授かった命をなくすのはストレスフルなできごと。大事な命が生まれてくるように応援したい」

全国に先駆けて、昨年4月から不育症の助成を開始した岡山県真庭市の担当者はこう説明する。同市は不育症に関わる保険外の治療費の助成を年30万円を限度に実施している。

不育症について厚労省の研究班は、2回以上の流産や死産、あるいは生後1週間以内の赤ちゃんの死亡がある場合と定義。年間3万人が発症しているといい、自治体が助成制度を設ける動きが広がっている。患者らで作る団体「不育症そだってねっと」によると、今年6月には神奈川県大和市など11自治体と急増した。

背景には、高額な治療費がある。不育症の検査項目や治療には自費診療が多い。同団体の調査では、出産までに通常の妊婦で約60万円かかるところ、不育症患者は治療費の上乗せ分で平均約104万円かかったという。不妊症と比べ病気の認知度も低く、患者らが直訴して助成に結びつくケースもあったという。

◆心も体も傷つく

「流産を繰り返すたび、心も体も傷つくんです」

川崎市の小川有美さん(28)は26歳で結婚。その後、3回の流産を経験した。初めて妊娠したのは結婚後まもなく。だが、7週目で流産してしまった。27歳で2回目の妊娠。8週目の健診で赤ちゃんの心音を確認した。「今度は絶対に大丈夫」。そう思って母子手帳を取りに行ったが、10週目の健診では心拍が取れず、その後、激しい腹痛に襲われ、自宅トイレで“出産”した。

「なんで私が…」。子供好きの夫に申し訳なく思い、離婚を切り出したことも。昨年9月に3度目の流産を経験したことから専門外来受診を決意。結果、不育症と診断された。子宮への血のめぐりが悪く、胎児に栄養が行きづらいことが判明。治療薬を飲みながら次の妊娠に備えている。

◆治療で出産可能

流産は一度の妊娠で15%程度起こるといわれているが、不育症専門の杉ウイメンズクリニック(横浜市)の杉俊隆院長は「繰り返し流産する場合、何か原因があるのか検査をする必要がある」と指摘する。

不育症の原因は子宮の形に異常がある場合のほか、染色体や免疫の異常、胎盤などに血栓ができやすいなどさまざまあるが、専門外来で検査治療した人のうち約8割が出産可能という。

不育症そだってねっとの工藤智子代表(35)は「お金がなくて治療をあきらめてしまう人もいる。本当なら生まれてくることのできた命を1人でも救うために、公的支援が必要」と訴えている。

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