2012年10月5日金曜日

<除菌消臭スプレー>「洗濯とは違います」 CMに批判の声

いやいや、そんなこと言われなくてもわかるでしょうよ。

 除菌と洗濯は違います--。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の除菌・消臭スプレー「ファブリーズ」のテレビCMを、愛知県クリーニング生活衛生同業組合(名古屋市)が批判している。CMは「ファブリーズで(衣服などを)洗おう」とのキャッチコピーで宣伝しているが、組合は「スプレーでは衣服の汚れは落ちない」と消費者に注意を呼びかけるポスターを3000枚作製し、県内のクリーニング店に配布している。

 布用消臭スプレーは市場規模約220億円で、ファブリーズがシェア7割を占める。P&Gは08年からCMを流し、手軽さが受けて若い世代などの人気を集めている。

 だが、P&Gによると、泥や油などの汚れは洗わないと落ちず、嫌な臭いを作る菌などを除菌、消臭する効果があるだけだという。CMは「汚れを落とすわけではありません」との注釈を小さくつけているが、同組合の武笠成久専務理事は「CMで勘違いした消費者がスプレーをかけて衣服を保管し、しみが残ったケースが出ている」と語る。

 愛知県ではクリーニング店の売上高が92年をピークに下がり続け、同組合は「ファブリーズで、これ以上客が離れては困る」(武笠理事)と独自でポスターを作製した。

 1万1000社が加盟する全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(東京都新宿区)は08年12月、日本広告審査機構(JARO)に「CMは消費者に誤解を与える恐れがある」と申し立てた。JAROが「『洗濯』の定義は明確でなく、判断できない」と回答したため、公正取引委員会にも相談したが、「不当表示の事件としては扱えない」との回答だったという。だが、連合会は「視聴者に誤解を与える」との主張を変えていない。

 P&Gジャパン広報は「CMでは、洗濯をしたときのような除菌・消臭効果があると伝えているだけ。商品の効果はホームページなどで説明しているが、批判があれば真摯(しんし)に受け止めたい」と話す。

 東京家政大の片山倫子名誉教授(被服科学)は「除菌・消臭スプレーで泥や油汚れの除去は無理だが、除菌・消臭効果も広い意味での洗濯に含まれ、CMの表現が間違っているとも言えない。消費者は商品を選ぶ際には表示をよく読むことが重要だ」と指摘している。

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