2012年10月22日月曜日

「側近」逮捕で支配崩れ、次々と告白…尼崎事件

うーん。ややこしすぎる。というかなんで殺したの?

兵庫県尼崎市の民家で3人の遺体が見つかった事件は、昨年11月に発覚したドラム缶遺体事件の捜査の延長線上で浮上した。

 同事件で主犯格とされた角田(すみだ)美代子被告(64)(傷害致死罪などで起訴、〈1〉)の周囲では、多くの家族が暴力支配を受けて財産を失い、離散。多数の行方不明者も出ていた。だが、多くは家族間暴力の加害者になることを強いられる特異な状況下で、実態は顕在化せず、県警の捜査は難航。その突破口になったのは、角田被告の「側近」の逮捕だった。

 ◆行動パターン

 大江和子さん(当時66歳、〈2〉)の遺体をドラム缶にコンクリート詰めにして遺棄したとして起訴されたのは、角田被告、大江さんの娘2人と元夫(〈3〉~〈5〉)、角田被告のいとこの李正則受刑者(38)(死体遺棄罪などで服役、〈6〉)の5人。李受刑者を除く4人は大江さんに暴行し死亡させたとして傷害致死罪でも起訴された。

 捜査で判明したのは大江さん家族に対する角田被告の「マインドコントロール」。県警は角田被告の過去を遡り、類似の行動パターンを把握した。ささいなことに因縁をつけて狙った家庭に入り込み、李受刑者ら取り巻きの暴力を背景に服従させ、暴力と甘言で家族間の絆を断つ。金、土地、家と、全てを巻き上げ、次の家庭に狙いを移す――。

 約10年前に入り込んだ高松市の一家には、角田被告や取り巻きの男らが居座り、数千万円を引き出したとされる。やがて角田被告は2人の娘を高松から連れ出したが、姉妹の長女(29)(〈7〉)は民家の3遺体の1人とみられ、次女は、角田被告の息子と結婚した瑠衣(るい)被告(27)(窃盗罪で起訴、〈8〉)。姉妹に付き添った伯父の谷本隆さん(〈9〉)は、民家で遺体で見つかった。姉妹の祖母は今も行方不明の民家の住人女性(87)(〈10〉)だ。

 行方不明者は少なくとも8人。だがドラム缶事件への関与を完全否認する角田被告はもちろん、周辺の人物らも一様に口をつぐんだ。

 ◆転機

 ところが今年8~9月、瑠衣被告と、角田被告の義妹の三枝子被告(59)(窃盗罪で起訴、〈11〉)が住人女性らの年金を盗んだとして逮捕、起訴されると、周辺者たちが徐々に口を開き始めた。そして今月、「民家に3人の遺体がある」との情報が寄せられた。情報源は角田被告と行動を共にしてきた人物。3人の名を具体的に挙げ「監禁されて暴行を受け、衰弱死した」などと死亡の経緯も明かした。

 県警は色めき立ち、13日、容疑者不詳の殺人容疑で慌ただしく民家の捜索に着手。そして14日に長女とみられる女性と安藤みつゑさん(〈12〉)、15日に谷本さんの遺体が情報通り見つかった。

 「角田被告の側近中の側近の瑠衣、三枝子両被告も逮捕され、ようやく暴力の恐怖が遠のいた」。周辺者らの心理を、捜査幹部はこう読み解く。

 養子縁組などで複雑化した人間関係の中、暴力におびえ、相互監視しながら生きてきた彼らの告白は続いた。岡山県の海に三枝子被告の夫(〈13〉)の弟(54)(〈14〉)、高松市の民家敷地に住人女性、兵庫県内に三枝子被告の夫の母(戸籍上死亡、〈15〉)もそれぞれ遺棄されたとの情報も明かされた。

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