同じ過ちを繰り返してからでは遅いのにね。自分は大丈夫と思っちゃダメだよね。
京都府亀岡市で集団登校中の児童と保護者計10人が無免許運転の車にはねられ死傷した事故から23日で半年。事故後、現場の道路は車の制限速度を10キロ引き下げ、速度低下を狙う塗装を施した。しかし、住民は「事故直後は車の速度も落ちたが、今は事故前と変わらない」と口をそろえる。大半の児童が、この通学路の利用をやめた。悲惨な輪禍がありながら、子供たちの安全は確保されていない。
事故が起きた府道は幅員6.2メートル、車道幅は3.9メートルで、すれ違う際に路肩と分ける白線をはみ出す車も少なくない。歩行者は、両脇の各1.15メートル幅の路肩を通る。カーブが多く見通しも悪い。
沿道に住む自営業の男性(60)は、事故前から危険を感じていた。「大人でも歩くのは怖い」と話す。かつては両側に側溝があったが、脱輪や歩行者の落下があり蓋(ふた)がされた。男性は、これで車のスピードが上がったとみる。
被害児童が通う市立安詳(あんしょう)小学校によると、ここを通学路としていた児童の8割が事故後、別の道で登下校するようになった。湯浅吉則校長は「集団登校は親も付き添い、きちんとルールを守っていたのに」と事故を嘆く。
事故後、現場の制限速度は40キロから30キロに下げられた。さらに市は、車道を区切る両端の白線の内側に青線を引いて狭く見せ、小学校の手前1・3キロに1ミリ弱の段差が生じる特別な塗装をして、車の速度抑制を図った。
だが、近くに住む主婦、浅野保子さん(61)は「事故から2、3カ月は車もゆっくり走っていたが、最近は前と一緒」と言う。事故時、小学1年の孫は、被害に遭った児童たちの一つ前の集団登校グループにいて難を逃れた。今は通学路を使う子どもが減り「かえって速度が出しやすくなったのでは」と思う。
別の主婦(33)は2歳の長男を必ず抱いて歩く。「事故前後で交通量も速度も変わらない。運転手はみんな『自分は大丈夫』と思い込んでいる」
府道は京都市と結ぶ抜け道として知られ、奈良など県外ナンバーの大型トラックも目立つ。一方で、地域の生活道路としても位置づけられ、農家の人がトラクターを出すこともあり、ガードレールや段差のある歩道など完全な歩車分離は難しい。バスは通らず、沿道の人々にとって車は大事な足でもある。
湯浅校長は「遺族の願いは根本的な問題の解決。子供の安全を切り口に道路行政を見直してほしい」と話している。
【ことば】京都府亀岡市の児童ら死傷事故
京都府亀岡市の府道で4月23日午前8時ごろ、集団登校中の市立安詳(あんしょう)小の児童ら10人が無免許運転の軽乗用車にはねられ、児童2人と妊娠中の保護者の計3人が死亡し、児童7人が重軽傷を負った。運転していた少年は自動車運転過失致死傷罪などで起訴された。事故後、国は公立小と特別支援学校小学部の通学路約7万カ所を調べ、事故の可能性があり対策が必要な地点が約6万カ所あると発表した。
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