2011年3月7日月曜日

なぜある種の人はひとりでオンラインゲームをプレイするのか?【GDC 2011】

好きになったゲームがたまたまオンラインだっただけな人も・・・?オンラインゲームって奥が深いんですね。



●頭がオカシイのか、一匹狼のヒーローなのか。それとも?

 2011年2月28日~3月4日、アメリカ、サンフランシスコのモスコーニセンターにて、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2011が開催。世界中のゲームクリエイターによる、世界最大規模の技術交流カンファレンスの模様を、ファミ通.comでは総力リポートでお届けする。

 BioWareが手掛ける『スターウォーズ』ブランドのオンラインゲームとして注目を集める『Star Wars: The Old Republic』。リードシステムデザイナーを務めるDamion Schubert氏が“The Loner: Why Some People Play MMOs Alone”と題する講演を行った。

 お題は“なぜある種の人はオンラインゲームをひとりでプレイするのか?”ということ。「MMORPGのマジックは多人数であることだ。全員一匹狼のヒーローなのか? シリアルキラーのように頭がブッ飛んでいるからか? ゲームデザインが何か間違っていたのか?」。そこで10のタイプに分けて分析を披露した。

1.The New Kid in Town
新しい場所に引っ越してきた子供。これはゲームをとりあえず買ってきた人などが含まれる。まだ誰も知り合いがいない状態で、新たな仲間ができないとプレイを止めてしまう可能性がある。タイミングによっては、同レベル帯にすでに別のプレイヤーがあまりいなくなっていることもある。インターフェースとチュートリアルですべてを説明することはできず、仲間がいないとゲームの理解が難しいこともある。

2.The Daria
インターネットの掲示板を読んで楽しむが、自分で何かを提供してコミュニティーにフィードバックするわけではない人々。このような人にとって、ほかの人間は個人というよりもコンテンツに近い。だが、だだっ広いカジノにひとりで何時間も座っているのは楽しくないものだ。ゲームデザインのサイドではスペースの演出が必要で、広さをコントロールし、人が入っているように見せることも大事だろう。ほかの人々がいるだけで気分が違ってくる。

3.The Sociopath
ゲームをやるにもある程度の社会性は必要だ。だが社会性に欠ける人がいることは理解しておかなければいけない。こういった人々にゲームデザイナーとしてできることの限界はあるが、共感を覚えさせるようなゲーム作りは必要だ。

4.Mr. Lunch at His Desk
昼ごはんを食べながらプレイしていたり、環境的に限界がある人。プレイ時間を長くとれないから、単独でプレイできるコンテンツを遊ぶとか、ヘッドセットがつけられないからボイスチャットができないとか。それに適したコンテンツを用意することはできるだろう。

5.The Introvert
世間には内向的な人々がそれなりの数いる。オンラインゲームを社交の代わりとして見る人もいるが、ほかのプレイヤーと集まりたくないという人を、無理やり30人集めてバンパイアを倒しにいくことはできるだろうか? それでも、きっかけが少ないだけで、誰かが声をかけてくるの待っている人もいる。

6.The Adrift
仲間がプレイを止めてしまったりして、取り残されている人。この種の人々はきっかけがあれば新たな集団に参加できるので、ふたたび新たな社交関係を築けるような受け皿を考えるべきだろう。Facebookは古い絆を取り戻している。職を失ったときに高校の同級生のつてを使うとか。そういったことから学ぶこともあるはずだ。

7.The Unworthy
パーティープレイでヒーローになりたいが、どうすればいいかわからない人たち。たとえば、ギルドに入ってタンク(前線で敵の攻撃を引き受ける役)としてちゃんと働くのは難しい。一匹狼でありたいと思っているわけではないこういった人を、ゲームデザインでどう拾い上げるか? いつか誰かが教えてくれるのかもしれないが、ゲーム中の活動を通じて、いま何が起きているか理解させたり、補助ができればいいかもしれない。

8.Vacationer
かつて自分がオンラインに繋ぐと、スパムのようにメッセージが飛んできて「ほっといてくれよ」と思ったことがあった。たまにはひとりでいたいこともある。この価値は結構見失いがちだ。

9.The Commitment-Phobic
ギルドに入るのは全員と結婚することと考えているような人々。貢献しなければいけないと、罪のような意識を感じている人がいる。適切なグループを見つけるのは難しいかもしれない。

10.The Garbo
ただ放っておいて欲しい人もいる。バーに「放っておいてくれ」とひとりでいても、トリビア大会か何かに参加して、やがて毎週出るようになれば仲間もできてくる。我々はコミュニティーを作っているから、人が入れるスペースを作らなきゃいけない。

 これはゲームデザインでどう助けることができるかを考えるための問題提起であって、『Star Wars: The Old Republic』で解決するような話ではない。オンラインゲーム、とくに高レベル帯向けコンテンツは、そもそも多人数プレイを念頭にデザインされている。「これ(オンラインゲーム)はハードコアなゲームなんだ」とSchubert氏は語る。ソロプレイではできることとできないことがあり、レベルが上がれば上がるほど他の人と関わらざるをえないように作られている。カジュアルレベルだけでいいというなら、そのままでもいいかもしれない。だが、『World of Warcraft』のレベル上限まで単独でプレイしてしまうような人々は? それは実在するのだ。「こういった人々にゲームデザインは何ができるだろうか? 寂しいと感じずにやっているのなら、それもいいのかもしれない。だが寂しさを隠しているとしたら?」。

 ちなみに記者は現実問題として4番であり、ゲームプレイヤーとしては7番と9番の傾向を持っていて、そもそもの性格は3番とか5番。だから、「とりあえずゲーム世界を楽しめればよし」と2番のような考えに努め、いまやNPCと人間を同列に世界の構成要素としてとらえているほどだ。それが進行して、ゲーム世界のセリフとしておかしい「ありwww」、「おつwww」というテンプレ応答が逆にわずらわしいので、10番のように振舞っている。うーん、Schubert氏からすれば相当にめんどくさい存在だろうが、これはこれで、慣れればまぁそれなりには楽しくてですね……。

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