2011年3月7日月曜日

高速バス横転 容疑者、悩み見せず周囲困惑

いくら自分の中で深刻な悩みがあったとしても、他の人を巻き込んじゃダメでしょう。


東広島市の山陽自動車道で高速バスが横転させられた事件は、7日で発生から10日になる。殺人未遂容疑で逮捕された鹿児島大3年、楫田(かじた)優希容疑者(22)=鹿児島市=は「就職活動に悩みがあった。自殺しようと思った」などと供述したとされるが、周囲は「そこまで追い詰められていたのか」と困惑している。広島県警は「衝動的な事件」との見方を強める一方、当時の心理状態の解明を含めて慎重に捜査を進めている。【中里顕、黒澤敬太郎】

 「就職で悩んでいるとは聞いていなかった」。楫田容疑者の父親は取材に対し、戸惑いを口にした。東広島署での面会時、「早く立ち直って謝罪しなければいけない」と言うと、楫田容疑者は小さくうなずいたという。

 楫田容疑者は農学部で食品保存などを専攻し、鹿児島市内で1人暮らし。豪州への留学経験もあった。正月に鹿児島県内の実家に帰省した際は「人の役に立つ仕事がしたい」などと意欲を語ったという。以前から県外で就職活動をしていたらしく、事件の約1週間前には「福岡の会社説明会に行く」と実家に電話していた。

 大学の友人ら周囲の評判からも、事件の予兆はない。大学での単位取得は順調で、成績は5段階評価で最高の「秀」が3分の1。商社への就職を希望していたといい、就職活動のサークルに入り、先輩からエントリーシートの書き方や面接の指導を受けるなど積極的だった。友人らは「明るい人だった」と口をそろえる。

 インターネットの交流サイト「フェイスブック」「ミクシィ」には1月以降、「就活は不安だよね」などの書き込みがあり、最後の書き込みは2月21日だった。しかし、大学の就職支援室に相談した記録はない。担当職員は「1月、2月は会社への登録が中心で、まだ入り口の段階」と首をかしげる。

 捜査関係者によると、楫田容疑者は取り調べに対し、目をつむって黙り込むこともあるなど、動機の詳細は語っていないという。

 県警の調べでは、楫田容疑者の不可解な言動が始まったのは事件の約1時間前から。バスは2月25日午後8時ごろ、大阪市の阪急梅田駅を出発。同10時50分ごろ、岡山市の吉備サービスエリア(SA)で休憩したが、変わった様子は確認されていない。

 その後、走行中に右後部から2列目の自席と、運転席を頻繁に行き来するようになり、運転手(35)に「降ろしてください」と要望。拒否されると「降ろせ」と命令口調に変わり、ドアを蹴り出した。この間、母親に携帯電話をかけたが、深夜のため母親は出なかったという。そして午後11時55分ごろ、控え運転手(43)の制止を振り切ってハンドルを左に切った。横転した車内で乗客らに取り押さえられると、「みんな死ぬんだ」などと叫んでいたという。

 広島地検は殺人未遂に加え、道路運送法違反(旅客バスの転覆)容疑の適用も検討しているが、ある捜査幹部は「責任能力が焦点になるだろう」と指摘。楫田容疑者の弁護団は地検に精神鑑定を申し入れ、地検も実施を検討している。

0 件のコメント:

コメントを投稿